Tokuyama Dental

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 2021年、「スープラナノ球状フィラー」が生誕40年を迎えます。
トクヤマデンタルのコンポジットレジンの品質を支えてきたスープラナノ球状フィラーの軌跡を始め、その長期臨床経過、そして、「シェードがないコンポジットレジン」という新たなコンセプトのもと誕生した「オムニクロマ」のケースレポートをWEBにまとめました。
皆様の今後の診療のご参考になりましたら幸いです。

フィラーを操り、
コンポジットレジンを極める

フィラーの制御と
コンポジットレジンへの応用

 トクヤマデンタルのコンポジットレジンの品質を支えているのが、独自技術の「ゾル・ゲル法」で製造されるスープラナノ球状フィラーです。
 一般的にコンポジットレジンに充填されているフィラーは、石英やガラスを機械的に粉砕して製造される不定形のものです。その形状や大きさは不均一で数μmから数十μmの大きさのフィラーを含んでいます。
 これに対し、トクヤマデンタルは、「ゾル・ゲル法」により、分子レベルからフィラーを合成し、理想的なサイズの均一なスープラナノ球状フィラーを生成します。この技術は、今からちょうど40年前の1981年に誕生しました。2021年は球状フィラー技術誕生40周年です。

 トクヤマデンタルのコンポジットレジンは、このスープラナノ球状フィラーを高密度且つ均一に充填しているので審美性と強度を兼ね備えています。
 表面粗さと表面硬度から見る最適なフィラーサイズは、表面粗さがほぼ一定になる1μm以下で、表面硬度が最も高い値を示す100~400nmの領域となり、エステライトシリーズで採用しているスープラナノ球状フィラーはまさに滑沢性と硬度を両立させた理想的なフィラーと言えます。不定形のフィラーを充填したコンポジットレジンでは表面の凹凸が大きくなるのと比較すると、その表面の滑らかさは歴然です。さらに研磨が容易で、仕上げにかかる時間が大幅に短縮され、作業効率を高めます。その仕上がりは天然歯に近い質感、透明性を持っています。

 歯牙に充填されたコンポジットレジンは、日々の生活(食事、歯磨き、歯ぎしり等)により、少しずつ摩耗していきます。スープラナノ球状フィラーが取れた後にできる窪みは、不定形フィラーのそれと比較して小さく表面が滑らかなので、光沢を損ないません。そのため、スープラナノ球状フィラーを高密度で均一に分散させたエステライトシリーズは、経年で摩耗しても術直後の光沢が持続します。

 氷の入ったグラスに水を注ぐと、興味深い現象が観察されます。それは、空気中の氷は容易に視認できますが、水の中の氷は透明で視認しにくくなるという現象です。氷と水の屈折率は同等であるため、水の中の氷は透明に見えます。一方、氷と空気の屈折率が異なるため、空気中の氷は容易に視認することができます。この関係を、コンポジットレジンにも巧みに応用しています。マトリックスモノマーの屈折率とスープラナノ球状フィラーの屈折率の関係をコントロールすることで、透明なコンポジットレジン(パルフィーククリア)を作ったり、また顔料の調整技術を併用することでコンポジットレジンの透明性を自在にコントロールできます。トクヤマデンタルの「ゾル・ゲル法」を応用すると、スープラナノ球状フィラーの屈折率を任意にコントロールすることができますが、この点も審美性の高いコンポジットレジン修復を支えるフィラー技術と言えます。

有機無機複合フィラーの進化

 スープラナノ球状フィラーは、上述のように、コンポジットレジンに直接添加されるだけでなく、有機無機複合フィラーの原料としても使用されます。従来の不定形の有機無機複合フィラーに加え、現在では、当社の新たな技術により、その形状もコントロールすることが可能になりました。
 コンポジットレジンに有機無機複合フィラーを用いると、単に球状フィラーのみを用いるよりもフィラー充填率を高くすることができ、その結果として球状フィラーの長所を残しつつ、コンポジットレジンの操作性、理工学的強度の向上や、重合収縮率の低減を実現することが出来ます。また、近年開発された球状有機無機複合フィラー(SCFフィラー)をコンポジットレジンに応用することで、重合収縮応力の低下を実現することが出来ました。

スマートクロマティックテクノロジーを生み出す
「オムニクロマフィラー」

 1981年から始まる40年のスープラナノ球状フィラーの歴史の中で、近年大きな技術革新がありました。それが、これからご紹介するスマートクロマティックテクノロジーです。スマートクロマティックテクノロジーは、「オムニクロマ」ブランドに応用されています。
 トクヤマデンタルの「ゾル・ゲル法」を利用することで、フィラー粒子径を精密に揃えることが可能となります。このような精密に粒子径の揃ったフィラーをコンポジットレジンに高密度に充填することで、粒子径に応じた構造色をコンポジットレジン中で発色させることができます。スープラナノ球状フィラーの粒子径を260nmに精密に制御することで(このフィラーを「オムニクロマフィラー」と命名しました)、「オムニクロマフィラー」は赤色から黄色の構造発色をします。この構造色と歯の窩洞からの反射光が混色することで、「オムニクロマ」はVITA16シェードに対応した様々な歯質の色調に同化した自然な外観を呈すという極めて特徴的な特性を有します。

 従来のコンポジットレジンでは古くから、顔料を添加することにより色調や透明性を調節する方法や、光拡散性を利用したカメレオン効果により周囲の歯質に色調適合させていました。それでも1つのシェードでカバーできる歯の色調幅には限界がありました。スマートクロマティックテクノロジーは、従来のカメレオン効果を有すコンポジットレジンと比較しても非常に幅広い色調適合性を得ることのできる技術であると言えます。

これまでの色調適合技術

 従来の色調適合技術のひとつに光拡散性があります。光拡散性があるコンポジットレジンでは、下図のようにレーザー光が拡散される様子が観察されます。このようなコンポジットレジンでは、透過光や反射光が”ぼやける”効果が得られるため、窩洞のマージンラインが見えにくくなるなど、周囲の歯質と色がよく馴染みます。高い光拡散性の効果により、周りの歯質の色調を取り込み、カメレオン効果(セルフカラーマッチ性)が発揮されるため、一つのシェードで幅広い色調に適応します。

*厚み0.3mmの硬化体にレーザー光をあて、反対側から観察した様子。

 40年という球状フィラーの長い歴史の中で、スマートクロマティックテクノロジーの発明は誰もが予見できなかった新しい発見でした。これまで積み重ねた技術と経験を礎としながら、トクヤマデンタルはこれからもスープラナノ球状フィラーの新たな可能性を探し続けていきます。

長期臨床症例CLINICAL CASE

「トクヤマデンタルのコンポジットレジン」臨床応用の経過

東京都/齊藤歯科医院 
齊藤季夫先生

私が、口腔内変化の長期観察をする理由
症例1 25年経過観察
症例2 29年経過観察

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オムニクロマ
ケースレポートOMNICHROMA CASE REPORT

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